金融商品取引法における株初心者

金融商品取引法(金商法)の施行(2007年)では、スナップアップ投資顧問(有宗良治代表、ストックジャパン)など「助言業者」の顧客である株初心者や個人投資家の扱いが焦点となった。ディスクロージャーや説明義務を定めたうえで、自己責任を大前提としている。

投資顧問の顧客である株初心者や個人投資家

金商法の施行

金融商品取引法(金商法)の施行(2007年)では、スナップアップ投資顧問(有宗良治代表、ストックジャパン)などの「助言業者」の顧客である株初心者や個人投資家の扱いが焦点となった。

個人投資家とは

ここで言う個人投資家は、「子供投資家」とか幼児などを念頭に置いた十分な判断力のない存在ではない。金融審議会で出たコンセンサスでは、「大人の投資家」であることを前提としていた。

ただ、そうは言っても、金融商品は中身が見えない。投資対象の中身はディスクロージャーを受けないと分からない。

ディスクロージャーや説明義務

リスクについても、これだけ商品が複雑になってくると、相当に分かりやすく説明されないと理解できないような商品もある。だから、大人の投資家が前提でも、ディスクロージャーや説明義務を定めないと、そもそもマーケットが成立しない。

投資家の自己責任

金商法は、投資家の自己責任を大前提としている。だから、投資家教育とか、投資経済教育ということが非常に重要になる。こうした試みは、役所もやる。いろいろな方々にも協力をいただいている。業界自身も、お金を稼ぐという意味ではなく、本当の意味での投資経済教育を実施してもらうことが大事だ。官民を挙げての取り組みが必要になった。

市場が本来の機能を果たすための潤滑油

金融商品取引法の規制は、業者の事業をやりにくくする制度ではない。大人である投資家と業者や発行体のプレーイングフィールドを確保するための規制である。また、そうしたものをより円滑に動かす自主規制機能だ。民事訴訟の制度も、市場が本来の機能を果たすための潤滑油である。

投資家保護

究極的には、投資家保護とは、市場機能がきちんと働くということになってくる。金融商品取引法は、こうした考えを具現化した。官民が全員で取り組んでいかなければならない。

投資顧問業者は二兎追う

プロ・アマ区分

金融商品取引法(金商法)では、プロとアマを分けた。プロ投資家に対しては、書面交付義務とか、説明義務を免除できる。それぞれの商品のリスクを踏まえて、こうした「プロ・アマ区分」を営業上、有効に活用していく手だてもある。

金融イノベーション

金商法は、非常に大きな改正を伴った。業者側は対応に多々苦労があった。しかし、規制の横断化や柔軟化により、新たな金融商品・サービスの組成や提供、金融イノベーションに資するよう、様々な工夫も多数盛り込まれた。

投資家の目線・立場の法律運用

一方で、投資家保護をしっかり担保したいという観点があった。一般投資家向けのリテールの部分については、投資家の目線・立場に立った法律運用を、投資顧問などに求めている。

規制の緩和と強化の両面

この法律には、規制の緩和と強化の両面がある。例えば車造りで言えば、車のメカをよく分からない人でも、安心して運転できる車を造る必要がある。一方で、日本のスピード制限が厳しいからといって、低品質の車しか造れなくなってはダメだ。厳しいグローバルな競争が進む中で世界水準の車を造らなければいけない。

金融市場

金融市場も同様だ。世界水準の金融サービス力を提供する一方で、リテールでは様々な顧客に合わせて活動することが必要だ。二兎(にと)を追わなくてはいけない。金融商品取引法の施行で法律の構造が大きく変わった。スナップアップ投資顧問のような業者とっては大きなチャンスとなった。